天文屋日記
2005年1月17日〜2005年3月19日

天文屋の日記です。(不定期更新)
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2005年3月19日 (フォトイメージングエキスポ2005を見に行く)

3月17日〜20日、東京ビッグサイトでフォトイメージングエキスポ2005が開催されました。天文屋は19日(土)に見に行きましたが、会場はとんでもなく広く、一日で全部見て回ることはできませんでした。会場に到着したのは午後0時20分頃。まず最初に望遠鏡ゾーンへ直行。今年も昨年とほぼ同じ顔ぶれのメーカーが出展していました。望遠鏡関係の展示を一通り見終わったあと、渡部潤一先生の公演会を聞きに行き、そのあとはカメラメーカーやレンズメーカーの展示を見て回りました。そして、あっという間に午後6時になり時間切れ。結局、プロフェッショナルゾーンへは一歩も足を運べないまま終了(泣)。翌日の20日(日)はOAA東京支部の例会があるので天文屋がフォトイメージングエキスポ2005を見に行けるのは19日(土)の一日だけなのです。もっと早い時間に出かければよかったなあ(反省)。

    
     東京ビッグサイト      フォトイメージングエキスポ2005受付     あちらこちらで撮影会       華やかなショーも多数j開催

[BORG]
BORGの展示でまず天文屋が注目したのは、2005年夏に発売予定の「EDスーパーレデューサーDG/F2.8」です。この製品は、125ED、101ED(100ED)、77ED(76ED)に取り付け可能で、F値を2.8にできるという優れものです。値段は結構高めの様ですが、天文屋は購入する予定。また、「レデューサー0.85×DG・L」も注目の一品。現在発売中のレデューサー0.85×DGが比較的短焦点の対物レンズに適応した設計なのに対し、この製品は焦点距離500mm以上の長焦点の対物レンズに適応するように設計されているとのことです。この他にも、ミニボーグ60EDやそのカラー鏡筒の試作品、M42ヘリコイド関連の展示など、興味を引くものが多数展示されていました。

    
     BORGの展示の様子      EDスーパーレデューサーDG/F2.8、   ミニボーグ60ED等の試作品    77EDに装着された地上プリズムEP-1
                        レデューサー0.85×DG・Lの発売予告


[タカハシ製作所]
タカハシ製作所のブースでは、現在開発中の新製品であるEM−400とTOA−150が展示されていました。どちらも年内の発売を目標として開発が進められているそうです。

[EM−400]
EM−400は同架重量35kgで、性能ランク的には現行製品のNJPとEM−500の中間あたりに位置する赤道儀です。EM−11と同様の方位回転機構が採用されているので 方位を考慮して三脚の足の向きを決める必要がなく、移動観測時のセッティングが楽そうです。ケーブルのインタフェース部が赤緯体の下部に配置されており、使用時にケーブルがじゃまになりにくい構造となっています。また、恒星時駆動の周波数がなんと240PPSで、非常になめらかな駆動を実現しています(ちなみに、EM−200 Temma2の駆動周波数は100PPSですが、超高倍率での惑星観望時でも動きがギクシャクしているなどと感じたことは全くありません。何でそこまでやるかなあ、タカハシさん(褒め言葉)。

[TOA−150]
既に発売されているTOA−130の大口径版です。試しに覗いてみたところ、展示会場の屋根しか見えず、その高性能ぶりを肌で感じ取ることはできませんでしたが、タカハシのフラッグシップに位置する製品ですから、迷光対策はバッチリ、像のコントラストは良好に違いないはずです(せめて、会場の外の風景を見せるとか、会場内に見え味チェック用のセットを組んで見せるとかの配慮をして欲しいと思います)。価格は100万をちょっと超えるくらいを予定しいるとのこと(注意:開発中ですので、変更の可能性も有り得ます)。性能を考えればこれでも間違いなくお買い得なのでしょうが、ほとんどのアマチュアには手が出せない価格です。でも欲しい×100・・・。正に望遠鏡界のロールスロイス。高嶺の花。(以上、稚拙な表現力の天文屋がお伝えしました)

                    
                 タカハシ製作所の展示              EM−400とTOA−150

[Vixen]
Vixenのブースでは、新製品のVMC260L鏡筒、GPD2赤道儀などが展示されていました。VMC260L鏡筒は、既に発売中の「VMC200L鏡筒」の大口径版です。鏡筒外形340mm、長さ650mmと かなりの巨体ですが、重量は意外に軽く わずか10kgに抑えられています。同社のGPD赤道儀にも何とか搭載可能な重量です(おそらくGPDに搭載可能な重量ということで10kgに決まったのでしょう)。下の段 左側の画像は、現在開発中の赤道儀「GAIAX」です。搭載重量は44kg(不動点より25cm)で、同社の「ニューアトラクス赤道儀:搭載重量22kg(不動点より25cm)」の倍の重さの機材が搭載可能です。下の段 中央と右側の画像は現在開発中の「SKY POD」です。架台はコンピュータ制御の経緯台式で、コントローラはSTAR BOOKとほぼ同じ操作方式のものが採用される予定だそうです。よく見ると、奇妙なことに望遠鏡のスパイダーが湾曲しています。これは奇抜なデザインで受けを狙ったのではなく、光の回折による 像への悪影響を緩和するためのものであるとのこと。実際には どの様な見え方をするのか非常に気になります。いつ発売されるのか聞いてみたところ、SKY PODの発売時期はまだ未定とのことでした。

                  
            Vixenのブースの様子                 展示品(その1)                     展示品(その2)

                  
             GAIAX赤道儀                    SKY POD(その1)                 SKY POD(その2)

[PENTAX(望遠鏡ゾーン)
PENTAXのブースでは、MS-55z赤道儀に搭載された150SDPを中心に、同社製の望遠鏡、双眼鏡、アイピース、フィールドスコープなどが展示されていました。150SDPは自由に覗くことができるようになっていました(右端の画像)。PENTAXのアイピースは値段が高価ですが、いつか手に入れて使用してみたいと思っています。

                  
           PENTAXのブースの様子            同社の望遠鏡、アイピース等の展示       MS-55z赤道儀に搭載された150SDP

[MEADE]
MEADEのブースでは、LX200GPS−20、LX90−20、ETXシリーズなどの望遠鏡やスワロフスキー製の双眼鏡、が展示されていました。
天文屋はMEADE製のLX200−20を所有しているので、展示品の内容については興味深々でした。天文屋がLX200−20を購入したのは10年も前のことであり、最新機種と比較すると性能的に見劣りがする様になってきました。例えば、GPS衛星からの電波を受信して望遠鏡の初期設定を自動的に行う機能はついてないですし、補正板や反射鏡のコーティングも標準コート仕様のままです。たかがコーティングとバカにしてはいけません。標準コートと最新のUHTCコートとでどれほど違うのかというと、

 [光学系全体の光の透過率(MEADEのカタログより抜粋)]
    標準コート  : 76.9%
    UHTCコート : 93.1%

最新のコーティングを施された望遠鏡の方が約16%も光の透過率が改善しているのです。そろそろ買い替え時かなあ。

                   
                 MEADEのブースの様子                  LX200GPS−20

[FUJINON]



            


[Nikon Vision]



                   


[Nikon]



    


[Canon]



    


[FUJIFILM]



                  


[PENTAX(総合ゾーン)


                  


[TAMRON]



    


[SIGMA]
SIGMAではDGシリーズの新製品が展示されていました。一時、カタログから姿を消していたレンズもDGシリーズとなって再販されるそうです。SIGMAのホームページによりますと、DGシリーズのレンズの特徴は、「デジタル一眼レフカメラの特性に最適化設計されたレンズ。35mm判一眼レフカメラでも、高い描写性能を発揮」と説明されています。

300mmF2.8もリニューアルされて再登場の予定です。MTFは変化していませんが、コーティングの質の改善などによってこれまでよりもフレアやゴーストが抑えられた設計になっているそうです。外観上の違いとしては、ピントリングのゴムの突起の形状の変化、距離計の周囲の色の変化(黒色→銀色)などを挙げることができます。再販されるのはめでたいことですが、旧タイプの製品を所有している天文屋としては複雑な気分です。

      
     SIGMAのブースの様子           SIGMA製レンズの展示      APO300mmF2.8 EX DG HSM   APO120-300mmF2.8 EX DG HSM

[TOKINA]
新製品目白押し!デジタルカメラ対応の短焦点ズームレンズが目立つところに展示されていました。

新製品の100mm F2.8も展示されており、実物を触り放題でした。ああっ幸せ〜。説明員の人に、「T社の某マクロレンズとそっくりですが、何か関係はあるのですか」という失礼な質問をぶつけてみたところ、「全然関係ありません。同じ様なSPECのレンズを設計すると自然と同じ様な設計になってしまうんです」ときっぱりと否定されてしまいました。両レンズのレンズ構成を比較してみると、TOKINAの100mm F2.8の方がレンズが1枚少ないだけで、後はそっくりです。ピントリングのシルクタッチの操作感までそっくりです。天文屋が思うに、おそらくどこかのメーカーで作られたレンズが他社にOEM供給されているのではないかと・・・この辺の話題はわかる人にだけにわかってもらえれば良いです。まあ、使う側としてはどうでも良いことですから・・・。

300mm F2.8は新製品ではありませんが、SIGMAとの比較のために画像を載せました。SIGMAと比較してサイズは大きめですが、実に頑丈そうな外観です。ヘビーユースが宿命付けられたプロのカメラマンの愛機として採用されることが多いそうです。

    
     TOKINAのブースの様子     AF 17-45mm F4とAF 12-24mm F4      AF 100mm F2.8 MACRO         AF 300mm F2.8 (IF)



川崎市青少年科学館の
プラネタリウム投影器



MEGASTARU
2005年3月12日 (川崎市青少年科学館で天文講演会開催)
本日は川崎市青少年科学館で行われた天文講演会に参加しました。
川崎市青少年科学館は、天文屋の住むマンションから北へ直線距離で2kmほどのところにあります。
講演会は午後5時からの開始だったのですが、天文屋はプラネタリウムの一般客向け投影も見たかったので午後3時ちょっと前に現地に到着しました。川崎市青少年科学館には、あの「MEGASTARU」が常設されています。
川崎市青少年科学館のプラネタリウムに行くのは今回が初めてというわけではないのですが、月ごとに投影話題が変わりますのでそれが目的です。

川崎市青少年科学館のプラネタリウムでは、投影が始まる前に双眼鏡が貸し出されています。MEGASTARUで投影される星を双眼鏡で観望してもらうためです。プラネタリウムの投影は1回約45分ほど、GMII-16-T型投影器(左の画像右側の大きい投影器)とMEGASTARU(左の画像左側の小さい投影器)が補完しあう形で投影が行われます。MEGASTARUだけで投影が行われていないのは、太陽、惑星、月など、天球上で位置を変えていく天体の投影には対応していないからです。それらの天体の投影のためにはGMII-16-T型投影器が必要なわけです。MEGASTARUの投影を初めて見た時、その物凄い星の数にびっくりしたものです。双眼鏡を覗いてみると、球状星団もきちんと1個ずつ星が分離して見えます。実は天文屋、初めてMEGASTARUの投影を見たとき、プラネタリウム解説員の説明はそっちのけで、球状星団、系外銀河、散光星雲等の天体に双眼鏡を向け、マニアックなところばかりを観察していました(解説員の方、どうもすみません)。

天文公演会の方の内容は、
 @星や天文現象にちなんだ短歌の朗読と解説
 AメガスターUの星空投影
というものでした。短歌の朗読とプラネタリウム投影、なかなかおもしろい組み合わせだと思いました。
晴れていれば更に、
 B天体望遠鏡で木星、土星の観察(晴天のみ)
が行われる予定だったのですが、曇天のため実物の星空の方の観望会は中止となってしまいました。残念。


万能TGタイマーの同梱品

万能TGタイマーを組み立てた状態
2005年2月19日
(月刊天文ガイドにて頒布中の「万能TGタイマー」をGET)

2月初旬、月刊天文ガイド2005年3月号を見ていて、「万能TGタイマー」の記事が載っているのを見つけました。記事の内容は、「天体観測用途に機能が特化されたタイマー」の詳細についてでした。本キットは月刊天文ガイドから頒布が開始されるとのことです。天文屋は、天体撮影に役に立つ使いやすいタイマーを必要としていましたので、迷うことなく購入を決断しました。

「万能TGタイマー」を利用して最も最初に実現させたいのは、
「D70のリモコンを制御してインターバル撮影を行わせる」 ことです。

D70本体にはインターバル撮影機能はついておらず、また、別売のリモコンには押しボタンがひとつ付いているだけで、シャッターON(BULB撮影の場合はONとOFF)の制御しかできません。天体撮影では、同じ露光時間の画像を何枚も撮影して、それらの画像をコンポジットして より良い画質の画像を得る・・・という作業を行うことが多いのですが、D70を使用しての天体撮影においては それらの撮影が自動化できず、たいへん不便を感じていました。

この、「万能TGタイマー」にはリレー接点が搭載されており、設定時間ごとに0.1秒のON動作を繰り返させる機能(インターバルモード)が付いています。この機能をうまく使うと D70のリモコン制御が可能となります。
すでに、D70のリモコン(ML−L3)を改造し、リモコン制御が可能であることを確認済みです。
「どの様な改造を施したか」についての詳細は、近日更新予定の「天文屋工房のコーナー」を御覧下さい。

P.S.
天文ガイド2005年4月号にも、万能TGタイマーのリレー接点を利用した「拡張した回路の構成方法」の記事が載る予定です。それらを読めば更なる応用方法が見つかるかもしれません。それにしても電子工作ってどうしてこんなに楽しいんでしょうか?・・・次から次へと楽しいアイデアが湧いてきます・・・


コロンビア(組立前)


ディスカバリー(組立前)


組立後の両機
2005年2月5日 (これをGET (=゜ω゜)ノ♪ PART2)
コンビ二で見掛けたTAKARAの「世界の翼」シリーズ01:全15種の中にスペースシャトルがあるのを発見。
「コロンビア」と「ディスカバリーの2種類があり、天文屋としてはこれを見逃すわけにはいかず、衝動買いしました。中に何が入っているのかわからないので、とりあえず店に置かれていた10箱全てをかごに入れてレジへ直行。店員がクスクス笑っていたような気がしましたが、まあ多分気のせいでしょう・・・多分・・・(汗)。

価格は1個399円(税込み)。10個購入したので合計3990円の出費でした。
(1個399円なの何でだろ〜???)
対象年齢は「15歳以上」と箱に書かれています。天文屋は余裕でクリアー(それも困ったもんですが・・・)。


箱を1個ずつ開けて中を確かめてみると、1箱目:C-5A(輸送機)。残念。2箱目:B52-H(爆撃機)・・・残念。3箱目:B-1B(超音速爆撃機)・・・残念。ひょとしたら1個も入ってないのでは?(天文屋の脳裏に不安がよぎる)。
4箱目:C-5B(輸送機)。5箱目:ようやく、コロンビアGET!!(祝)。このあと9箱目でディスカバリーもGET。見事偉業を成し遂げました。ビールの栓をシュポーンと抜いて一杯やりたい気分です。 ヽ(゜∀゜)ノ

左の画像を見て頂ければわかる通り、小パーツに分けられた状態で梱包されています。パーツ数が少ないので、ものの5分としないうちに組み上がります。ディテールの再現性は、価格399円にしてはかなり納得のいくレベルに仕上がっていると思います。

本製品は 今流行りの食玩だと思っていたのですが、お菓子の類は入っていませんでした。
製品のジャンル上は何に分類されるんでしょうか?

ところで、肝心の本物の方はどうかと言うと・・・、今年(2005年)の5〜6月頃に飛行が再開される見込みの様です(現段階ではまだ不確定要素が多く、延期の可能性も充分有り得ます。改善要求項目をまだ全てクリアーしていないそうです)。この飛行再開ミッションでは、構造、成分が見直され、剥がれにくくなった断熱材が新規に採用されます(前回の飛行(STS-107)では外部タンクから剥落した断熱材が翼の前縁部を破壊して問題となった)。また、不幸にして耐熱タイルが損傷してしまった場合に備え、飛行中に耐熱タイルを交換する模擬訓練も行われる予定です。何にしても、安全な飛行を目指して頂きたいものです。

PS.ハッブル宇宙望遠鏡(HST)の廃棄が決定された(今後の修理ミッションは行われない)そうです。
  次世代宇宙望遠鏡はまだ構想段階なのにこれから一体どうする気? (`□´)!怒



ぶんと通信 第38号の掲載記事
2005年2月3日 
(天文屋撮影の天体画像 伊賀市文化都市協会発行の情報誌に載る)
2005年1月8日、伊賀市の岩倉峡公園でスター☆ウォッチングが開催されました。
当日、天文屋はマックホルツ彗星を撮影するために神奈川から三重へ帰省していたのですが、実は岩倉峡公園でのスター☆ウォッチングのことは全く頭にありませんでした。

1月14日になって、伊賀市文化都市協会から、情報誌:ぶんと通信に、「すばるに接近するマックホルツ彗星」の画像を使用させて下さいとのメールが届き、この時点でスター☆ウォッチングが開かれていたことを初めて認識しました。もちろん快諾。 ^^;

後日、2004年12月のOAA伊賀上野支部例会開催通知のはがきを見直してみると確かにスター☆ウォッチングのことが書かれています。「帰省してたんなら天文屋も行くべきやったかな〜・・・」と反省してはみたものの後の祭り・・・。画像提供という形で一応天文屋もスター☆ウォッチングに貢献(?)致しました。

注:本記事の掲載にあたり、事前にOAA伊賀上野支部:田中利彦氏の御許可を頂きました
2005年1月29日 (赤外カット改造のD70が届く)
赤外カットフィルター改造を依頼していたNikon D70が光映舎から戻ってきました。
早速、地上風景で試写してみました(下表参照)。当然の結果ではありますが、(赤い散光星雲の発する)波長656.3nmのHα光が透過する特性のフィルターに交換されているためホワイトバランスが崩れて赤っぽく写っています。これは、D70のオートホワイトバランスが、元からD70に取り付けられていた赤外カットフィルターの特性に合わせて調整されているからです。

崩れてしまったカラーバランスの補正は ホワイトバランスのプリセット機能を使えば可能です。全面が白色(あるいはグレー)の被写体を撮影して ホワイトバランスを再設定してやることによって、そこそこホワイトバランスのとれた画像を得ることが可能です(下表右欄の一番下の画像。それでも、 完全にはホワイトバランスを補正できず、やや赤みがかった画像となっています。CANONのEOS20Dαの撮影画像の色調と似ています)。ただし、この方法で対処可能なのは、P(プログラムオート)、S(シャッター優先モード)、A(アイリス優先モード)、M(マニュアルモード)の4つの撮影モードだけです。他の撮影モードではホワイトバランスが強制的にAUTOに固定されてしまい、対処不可です。実はもうひとつ難点があります。当然のことながらホワイトバランスの自動調整が効かないため、撮影条件が変わるごとにホワイトバランスを取り直す必要があり、かなり使い勝手の悪い代物となってしまいます。

赤外カット改造を施すことにより上述の様な不具合が発生してしまうわけですが、やはり天体撮影を行う上で赤い散光星雲が良く写るということは魅力的であり、このカメラの存在意義はそれに尽きると思います(光映舎さんのホームページのサンプル画像を見たところでは、赤い散光星雲がかなり良く写っています)。これからのこのカメラの活躍が期待されます。

PS.オートフォーカスに関しては、(光映舎さんによる赤外カット改造では)問題なく動作している様です。
   D70のオートフォーカス機能を正常に働かせることが可能な特性(厚さ、屈折率)のフィルターが使用されている様です。
ノーマルD70 赤外カット改造D70
WB:AUTO
WB:電球
WB:蛍光灯
WB:太陽光
WB:曇天
WB:日陰
WB:太陽光でPRE SET実施



ノイズ除去機能OFFで
5分露光した画像


レンズに蓋をして同条件で5分間
露光した画像
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演算後の画像
うまくDARKノイズが引けない・・・
(画像左上の輝度が不自然に
落ち込んでいる)
2005年1月17日 (RAW画像からダークノイズを引いてみたものの・・・)
Nikonのデジタルカメラ D70には、長時間露光撮影時にノイズを自動的に除去する機能がありますが、この機能を有効とするには、撮影が終了した後に実撮影に掛かったのと同じ露光時間分のDARKノイズ撮影が必要です。10分間天体を撮影すれば、DARKノイズを撮影するためにさらに10分間掛かるということです。この間、天体は撮影できず、ただただ待つばかり・・・。しかも撮影ごとに毎回です。
いつでも撮影でき、いつ撮影してもその姿がほとんど変わることの無いメシエ天体などを撮影する場合にはそれほど深刻な問題とはならないのですが、短時間のうちに、位置、姿を大きく変化させる 彗星の様な天体を撮影する場合には困ってしまいます。

では、ノイズ除去機能をOFFにして撮影し、後からノイズだけの画像を まとめて画像処理ソフトで減算してみたらどうか?という疑問が沸いてきます。うまくいけば、ノイズ撮影の為の無駄な待ち時間が必要なくなります。

左の画像はその実践例です。・・・・・が、実際にやってみるとうまくいきません。
画像のレベル調整をいろいろ変えて試してみたのですが、どうしても画像の一部分に赤い熱かぶりか 輝度の落ち込んだ部分が発生してしまい、両方がうまく消えてくれる設定が見つかりません。
どうやら、RAW現像してしまった後にDARKノイズを引いても うまくいかない様です。

後で知ったことですが、D70の内部で行われているノイズ除去の演算は、RAW現像前の撮影画像とRAW現像前のDARKノイズ画像間で行われているものであり、RAW現像されてしまった後の画像をどういじくろうとも、ノイズの値そのものが変化してしまっているので うまくDARKノイズを引くことはできないのだそうです。今のところステライメージ4には、RAW現像前の画像に対してDARKノイズ除去の処理を掛けることのできる機能は搭載されていません。

そんなわけで、デジタルカメラの撮影画像からDARKノイズを引くための専用ソフト(RAP)を購入しました。
このソフトウェアはデジカメのRAW現像前の画像を扱うことができ、DARKノイズをきれいに除去することが可能な機能を備えています。下の画像はこのソフトを使用して処理を行った場合の作例です。

結果良好。さすが専用ソフトだけのことはあります。天文屋のこれまでの努力って一体何?・・・・・


   
   RAPでDARKノイズを除去した画像の例




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