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GHS時計(元祖タイプ)製作例の紹介

注:GHS時計とは
「GHS時計」は、和歌山県金屋町生石高原天文台の下代博之(G),せんだい宇宙館の早水勉(H),国立天文台の相馬充(S) の三氏により考案・開発されました。
GPS(Global Positioning System)を利用して、簡易にかつ低コストで原子時計に匹敵する精密な時刻を
得ることができます。
当製作例(GHS時計元祖タイプ)は月刊天文2000年5月号に掲載された 下代博之氏(生石高原天文台)、
  早水勉氏(せんだい宇宙館)、相馬充氏(国立天文台)によって開発されたGHS時計の記事を参考にして
  筆者が製作したものです

 
月刊天文ガイド誌から「マイコンGHS時計工作キット」が頒布される以前に製作したものです)
GHS時計(元祖タイプ)の製作に当たっては、下代博之氏から貴重な意見や情報を頂きました。


以下の内容は、東亜天文学会の会誌「天界」の2001年5月号に掲載されたものに、画像を追加し、文章に若干の
修正
を加えたものです。


GHS時計の具体的製作例

1. 製作に至った経緯

  月刊天文2000年5月号に掲載された、下代博之氏(生石高原天文台)、早水勉氏(せんだい宇宙館)、
 相馬充氏(国立天文台)によって開発されたGHS時計の記事を読み、たいへん興味を持った。短波JJY
 の受信が不安定であることに日頃問題を感じていたため、星食等の時刻保持手段に何らかの別の方法が
 必要であると感じていた(短波JJYは2001年3月31日をもって廃止された)。下代氏の記事の内容を検討
 した結果、技術的に私の技量で容易に製作することができると判断した。また、入手困難と思われる部品が
 特になかったため今回の製作を行うことを決意した。
  
  ただし、電源部の設計やケース加工、入出力端子の選定等の資料は記事の中には含まれていなかった
 ため、これらは自己流での設計、部品の選定が必要であった。

  GHS時計専用LSIは下代博之氏から供給して頂いたが、電子メールでのやり取りの際に、秒表示の
 7セグメントLEDを追加する回路案があることを教えて頂き、実際の製作にはこちらの回路(図1参照)を
 採用することにした。

           
             
図1.回路図

2. 設計、構造
「メイン基板」

  1台だけの製作であればユニバーサル基板(スルーホールが多数格子状に並べられた基板で、電子部品
 のリードをスルーホールの穴に差し込んで半田付けができるもの)を使用して、配線はビニール被覆線にて
 つなぐという方法を取ることもできるが、私は複数台製作することを前提として考えていたため、迷わず、
 回路のパターンを起こして、ポジ感光基板にてプリント基板を作成するという手法を採用した。この場合、

 ◎配線の効率的な引き回しを考えての配線パターン設計が必要
 ◎アートワーク(透明フィルムに、基板のパターンにあたる部分を遮光するための黒色テープを貼りつける
   作業が必要
 ◎基板の感光作業、薬品によるパターン不要部分のエッチング作業が必要
 ◎パターン形成の完了した基板に、電子部品のリードを挿入するための穴開け作業が必要(専用のドリル、
   ドリル台が必要)

 という工程が必要であるが、複数台作成する場合にはこちらの方法を採用する方が何かと便利である
 (配線間違いが起こらない、修理が行いやすい、見た目がすっきりしている、ショートが起こりにくいという
 メリットがあるため私は1台きりの製作でもポジ感光基板を使用することにしている)。私の作成したアート
 ワークのパターン図を図2に、部品の実装図を図3に示す。
 
          
 
 図2.アートワークパターン図       図3.部品実装図

 (製作上の注意点)
 ◎図3において、JPと表記してあるのはジャンパー線の意味。
 ◎IC3(GHS−3)の3番端子は、空中配線にて、同じくIC3の28番端子(+5V)とつないで使用
   すること。
 ◎IC2(GHS−2)の44ピンPLL ICソケットで、使用していない端子のリード(4,5,17,19,29,
   30番ピンの6本)はカットして使用すること。

「電源」
  電源部に関しては、2電源対応(交流100V、直流+12V)とすることを目的として設計を行った。
 星食等の観測のため移動先で使用する場合は車のバッテリーやDCワーク等の直流+12V電源から電力を
 得ることができる必要があり、自宅で使用する場合は電力枯渇の心配が無い(料金未払いの場合は責任を
 持たないが)交流100V電源を使用したいため、この両方に対応できる方法は無いものかと考えた。

  GHS時計に供給する電圧は(ジュピター、GHS時計専用LSIの両方とも)直流+5Vである。ということは
 直流+12Vを直流+5Vに降圧する回路が必要である。また、バッテリーの電圧は+12Vとは限らず、
 +13Vを越えることもあり、この様な電圧変動があっても出力側は安定して+5Vを取り出せる様にしておく
 必要がある。

  結論として、三端子レギュレータを使用する回路を採用することにした。三端子レギュレータは別の直流
 電源の出力を降圧して安定した電圧を取り出すことのできるICである(端子が3つしかないが立派なICで
 ある)。+5V出力用の三端子レギュレータであれば、入力電圧は+8V〜+35Vの範囲で使用可能である
 (ただし、入出力間での電圧差が大きいとレギュレータの発熱が増加するため、入力電圧の上限は+15V
 として熱設計を行った)。今回採用した三端子レギュレータは出力電流1Aまで取り出すことが可能である。
 電源としてバッテリー(直流+12V程度)を使用する場合は三端子レギュレータの入力にそのまま直結可能
 であり、交流100Vを使用する場合は市販のAC−DCアダプター(出力電圧+9V、電流容量500mA程度
 のもの)を使用することができる。

  GHS時計は消費電流がわりと大きめ(秒数表示の7セグメントLED有の回路の場合、380mA程度)で
 あり、入力電圧が+15Vの条件下ではレギュレータがかなり発熱することが予想された。三端子レギュレータ
 には熱保護回路が内臓されており、限界温度を越えると出力をカットする安全設計となっているが、少しでも
 安定した動作を得るため放熱板を付けることにした。シリコングリースを使用してレギュレータと放熱板を密着
 させ、放熱効率を上げる様にした。実際の使用条件(条件:電源電圧+12.5V、気温25℃)における
 三端子レギュレータの表面温度は、電源投入後1時間で+75℃程度である(CUSTOM(株)製 放射
 温度計:CT−2000を使用しての計測結果)。密閉されたケース内で使用すると熱がこもるため、放熱板の
 上部にあたる部分には放熱用の穴を設けた。また、温度上昇がジュピターに与える悪影響を減らすため、
 ケース内におけるジュピターと放熱板との距離をなるべく離して配置した(写真1、写真2参照)。電源部は
 メイン基板上に設けてある。
 
          
   
写真1.GHS時計内部        写真2.GHS時計の配線

「7セグメントLED(秒数表示)」
  私の使用した秒数表示の7セグメントLEDの形状は直方体の下面側からリードが出ている様な構造で
 ある(図4参照)。これをGHS専用ICや三端子レギュレータが実装されたメイン基板に直接半田付けして
 しまうと、ケース上面に角穴を開けても、そこからのぞき込んで表示を見るのでは非常に使いづらい。
 かと言って、メイン基板をケース下面から大きく持ち上げて固定すると今度は放熱板がケース内に収まら
 なくなってしまう。よって、7セグメントLEDの固定用基板を別途設け、メイン基板との間はビニール被覆線
 とコネクタを使用して接続することにした(写真3参照)。

          
     
          写真3.

 ビニール被覆線を直接メイン基板に半田付けしても良いが、メンテナンスのし易さを考えてコネクタを使用
 することにした。コネクタを使用する場合は、コネクタピンとビニール被覆線との接続はきちんと半田付け
 しておかないと後で接触不良を起こし、正常に7セグメント表示(秒数表示)がされなくなるので念入りに
 行う必要がある。ビニール被覆線は10本程が連結されたフラットケーブルを使用した(内、実際に使用
 するのは8本)。フラットケーブルを使用した方が配線がからまずに済む。メイン基板と7セグメントLEDの
 間の接続方法は図4に示してある。
  
           
       
図4. 7セグメントLED 接続方法

「ケース加工」
  ケースはタカチのYM180を使用した。穴開けの加工寸法を図5−1、図5−2に示す。

           
  
図5−1.ケース加工寸法(その1)   図5−2.ケース加工寸法(その2)


  YM180はGHS時計の基板に対してぎりぎりのサイズであるので、一つ大きめのYM200を使用した
 方が作り易いかもしれない。YM180を使用した場合のGHS時計の完成品を写真4、写真5に示す。


           
   
写真4.GHS時計(正面)        写真5.GHS時計(後面)

(ケースの入出力について)

◎DC IN

 電源入力用の端子。DCジャック(φ2.1mm)で、ケースに丸穴を開けて取り付けることが可能なものを
 使用した。芯線の直径はいろいろなものがあるが、φ2.1mmがもっとも一般的であり、一般に市販
 されているAC−DCアダプターの出力は ほぼこのサイズのものが使用されている。  

◎RF IN
  ジュピターの外部アンテナ入力用のRF端子。これはジュピター購入時に添付されているものを使用した。
 ケースに丸穴を開けて取り付けることが可能である。  

◎AUDIO OUT
  秒パルスの音声信号を外部に出力するための端子。RCAピンジャック(ステレオ等の背面に付いている
 音声信号の入出力端子)を使用した。これもケースに丸穴を開けて取り付けることができるものを選択した。

◎LED OUT
  秒パルスのLED発光信号を外部に出力するための端子。これには2.5φステレオジャックを使用した。
 これもケースに丸穴を開けて取り付けることができるものを選択した。モノラルジャックではGND側が
 ケースと導通してしまい、LEDを点滅させることができなくなってしまう(点灯したままになる)のでステレオ
 のタイプを使用した。
 
「外部LED出力ケーブル」
  外部LED出力ケーブルは、マイクコード(KYOWA:13/0.08×2シールド線No3)、2.5φステレオ
 プラグ(MP−025MH)、LED(CTL804W 6V赤)を使って作成した。マイクコードは2芯のタイプであり、
 シールドの網線は信号の伝達には使用しない。LEDには極性があるので、この2芯の配線を逆に接続
 するとLEDが点滅しなくなるので注意が必要である(写真6参照)。 

          
          
写真6.外部LED出力ケーブル
 
「外部光ケーブル出力」
  外部光ケーブル出力は、三菱レイヨンのエスカ:CK20E(0.5mm×100m)、2.5φステレオプラグ
 (MP−025MH)、LED(GL3LR8)を使って作成した。LEDは2.5φステレオプラグの内部に仕込む。
 光ケーブルとLEDの光軸を合わせて、2.5φステレオプラグと光ケーブルを固定するために、2.5φ
 ステレオプラグと光ケーブルの間の隙間に熱収縮チューブをかぶせ、瞬間接着剤で固めるという方法を
 取った(写真7参照)。

          
          
写真7.外部光ケーブル出力
  
「電源ケーブル」
  電源ケーブルはコード付きDCプラグ(DCC344:外形φ5.5、内径φ2.1、コード長1.8m)とシガー
 プラグ(MP−129N)を使用して作成した。極性を逆に接続すると動作しないので注意が必要である。                        


3. 部材一覧

  表1に使用した部材の一覧表を示す。電子部品の価格は2000年11月時点のものである。

表1.GHS時計 部材一覧
価格は2000年11月の調査結果
No    部  品  名 個数(個) 単価(円) 合価(円)
1 ジュピター 1 19800 19800
2 GHS時計専用LSI(GHS−2) (注:現在は製造終了) 1 1500 1500
3 GHS時計専用LSI(GHS−3) (注:現在は製造終了) 1 1000 1000
4 ICソケット(28PIN) 1 60 60
5 炭素皮膜抵抗(510Ω 1/4W) 11 5 55
6 炭素皮膜抵抗(2.2kΩ 1/4W) 4 5 20
7 炭素皮膜抵抗(3.9kΩ 1/4W) 1 5 5
8 トランジスタ(2SA1015) 2 20 40
9 三端子レギュレータ(AN7805) 1 85 85
10 タンタルコンデンサ(1μF/50V) 1 40 40
11 セラミックコンデンサ(0.1μF/50V) 4 20 80
12 電解コンデンサ(100μF/25V) 1 65 65
13 放熱板(PC1724A25PB) 1 80 80
14 アルミケース(タカチ:YM180) 1 930 930
15 トグルSW(ミヤマ:MS172) 1 140 140
16 押しボタンSW(MS−350) 1 80 80
17 ヒューズホルダー(サトーパーツ:F90) 1 100 100
18 ヒューズ(500mA) 1 20 20
19 RCAジャック(マルシン:MR−565G) 1 120 120
20 RCAプラグ(WTN−6199G) 1 100 100
21 3.5φステレオプラグ(MP−019LC) 1 100 100
22 2.5φステレオジャック(MJ−070N) 1 80 80
23 2.5φステレオプラグ(MP−025MH) 2 150 300
24 DCジャック(φ2.1mm) 1 60 60
25 コード付きDCプラグ
 (DCC344:外形φ5.5、内径φ2.1、コード長1.8m)
1 180 180
26 シガープラグ(MP−129N) 1 90 90
27 16φ単連ボリューム(30kΩ/Bカーブ) 1 90 90
28 16φ単連ボリューム(500Ω/Bカーブ) 1 90 90
29 ボリュームツマミ(BM−15(黒)) 1 65 65
30 ボリュームツマミ(BM−15(赤)) 1 65 65
31 LED(CTL804W 6V赤(明視野照明用)) 1 150 150
32 LED(U1001G DC6V(ケース上面 分予告信号表示用)) 1 240 240
33 LED(U1001R DC6V(ケース上面 秒信号表示用)) 1 240 240
34 7セグメントLED(松下:LN524RA) 1 400 400
35 LED(GL3LR8(光ファイバー出力用)) 1 40 40
36 ユニバーサル基板(サンハヤト:ICB−88) 1 90 90
37 感光基板
(サンハヤト:31K 1.6t 100×100 片面ガラスエポキシ)
1 640 640
38 ポジ感光基板用現像剤(サンハヤト:DP−10) 1 90 90
39 エッチング液(サンハヤト:H−200A) 1 400 400
40 スペーサ(SJE305 M3(長さ5mm)) 4 10 40
41 スペーサ(SFA330(長さ30mm)) 4 25 100
42 コネクタ(molex:5045−08) 2 60 120
43 コネクタ(molex:5102−08) 2 25 50
44 コネクタ(molex:5046−08) 1 70 70
45 コネクタ(molex:5102−08) 1 25 25
46 コネクタ(molex:5046−06) 1 60 60
47 コネクタ(molex:5102−06) 1 20 20
48 コネクタ(molex:5045−02) 1 20 20
49 コネクタ(molex:5102−02) 1 15 15
50 コンタクトピン(molex用、100個入り) 1 900 900
51 M3ねじ用ワッシャー 12 5 60
52 マイクコード(KYOWA:13/0.08×2シールド線No3) 1 450 450
53 マイクコード(KYOWA:0.3×1Cマイクコード L3) 1 300 300
54 フラットケーブル(KYOWA:RKV 10C×10 No1) 1 140 140
55 ビニール被覆線(適量) 1 120 120
56 AC−DCアダプター(9V/500mA) 1 1380 1380
57 光ファイバー(三菱レイヨン エスカ:CK20E(0.5mm×100m)) 1 1350 1350
58 熱収縮チューブ(適量)
合計 32950
 
 
私が普段利用している購入先は以下の通りである。この2店舗で、ジュピターとGHS時計専用LSI以外の部材が
 ほぼ全てそろう。


   「シリコンハウス共立」

     場所 :大阪府大阪市浪速区日本橋5−7−19
        (地下鉄恵美須町1A出口から南へ徒歩20歩のところ)
     TEL:06−6644−4446
     FAX:06−6644−6666
     ホームページ:
http://www.kyohritsu.com/SILICON/index.html

   「ニノミヤ エレホビー店 6階」
     場所:大阪府大阪市浪速区日本橋5−6−19 PC X town
        エレホビー店6F
        (地下鉄恵美須町1A出口から南へ徒歩1〜2分)
     TEL:06−6632−2576
     FAX:06−6632−2028
     ホームページ:
http://www.ninomiya.co.jp/index.htm

◎GPS受信機:ジュピター
  ジュピターに関しての詳しいことは(株)SPAのホームページを参照されたし。価格は¥22800円
 (税別)であるが、半田付け技術に自信のある方は「データ電源ケーブル未加工」品を購入されること
 をお薦めする(小さなコネクタの半田付けと細いケーブルの加工がやや難しいが)。
 こちらの価格は¥19800円(税別)であり、3000円安く入手することができる。

    
「(株)SPA」
     場所:〒141―0032 東京都品川区大崎3−6−31,501
     TEL:03−5759−2570
     FAX:03−5759−2577
     ホームページ:http://www.spa-japan.co.jp/
     E-mail:
gps@spa-japan.co.jp

◎GHS時計専用LSI(GHS2、GHS3)
  専用LSIは下代組機工の下代博之氏から供給して頂いた。
  (注意:現在、GHS2、GHS3の製造は既に終了しているため入手不可)


4. 使用感

  空の開けた所で動作させると、GPS衛星からの電波を受信し、およそ1分、長くても4、5分程度で
 同期した。雲が厚いほど同期するまでに時間がかかる様である。GPSアンテナをジュピター付属の
 ものから別のもっと感度の高いものに変えれば同期までの時間は短縮できるものと思われる。UTCと
 同期しているかどうかを判断するためには、別途なるべく正確に合わせた時計を用意し、GHS時計の
 スイッチを正秒のタイミングからわざと0.5秒ずらしてONにすると 同期した瞬間の秒信号のタイミング
 変化が大きくなり判断がしやすくなる。

  光出力は、LED出力ケーブルか光ケーブル出力のどちらかを選択して使用する。LED出力の場合は
 対物レンズの先(反射望遠鏡の場合は筒先)にLEDを固定して使用する。実際に望遠鏡に装着して
 ビデオの画像で確認してみるとLEDの明かりが画面の中のかなり広い部分に渡ってぼけた状態で
 映った。これでは撮影される映像に悪影響がかなり出るので、現象発生時刻が事前にある程度正確に
 わかっている場合(星食、グレージングなど)は、ビデオをまわしっぱなしにし、現象発生前と現象終了後
 のみLEDの明かりを最大輝度で映し、現象発生中は輝度を絞っておくという方法をとると良い。光ケーブル
 出力の場合は、接眼レンズとビデオカメラの間に光ケーブルの先端部分を固定して使用する。LED出力の
 場合と比べ画面内への光の映りこみを小さくすることができるが、光ケーブル先端の固定が難しく、少し
 工夫が必要になるという難点がある。

  音声出力は、直接ビデオカメラの音声入力端子に接続して使用するか、ラジカセ等のアンプを内臓した
 スピーカーにつないで、その音声を録音して使用する。一ヶ所で複数人数で観測する場合はスピーカー
 で音を鳴らすと便利である(ただしこの場合、音速はおよそ340m/秒であるので、11mほどの距離で
 ビデオの1コマ分の誤差が出ることになるので注意)。精度を高めたいのであれば、直接ビデオカメラの
 音声入力端子に接続して使用することを推奨する。


5. グレードアップ法

  GHS時計を更に少し改良することにより、GPS衛星からの受信データから、時刻、観測地の緯度、経度
 等の情報を取り出し、パソコンの画面に表示させることができる。これには二つの方法がある。
 
(注:月刊天文ガイドから頒布されていたマイコンGHS時計(現在は頒布終了)では上記の機能が
     盛り込まれている)

  一つは、ジュピターの購入先と同じ(株)SPAから「ジュピター用パソコン接続ケーブル」を購入する方法
 である(価格¥9800)。ただし、電源はDC+6Vのため、電源を新たに確保する必要がある。

  もう一つの方法は、TTLレベルの信号をRS232Cレベルに変換するIC(MAX232A)を使用して自分で
 回路を組む方法である。上記の方法と比較して安く仕上げることができる(この場合の電源はDC+5Vの
 ため、GHS時計の電源と共用できる)。代替品として、ANALOG DEVICESのADM232AANを使用
 することもできる(MAX232Aとピン・コンパチブル)。
 
  上記のどちらの方法であってもGPS衛星からの情報を表示するには専用のソフトウェアが必要である。
 これは、せんだい宇宙館のホームページからダウンロードできる(前述の、MAX232Aを用いた場合の
 回路図も公開されている)。
 
    
せんだい宇宙館ホームページアドレス
    
http://uchukan.sendai-net.jp/index.html

    
ソフトウェア名 : Satk(さとくん)Ver3.2
    製作者     : 瀬戸口貴司 氏 (東亜天文学会)
    動作条件    : Windows95以上のOSを有するPC
               (RS−232C端子のあるもの)

    
GPS受信機  : ジュピター,GT−74,GT−77,CCA-370H((株)SPA)
               
および、NMEAフォーマット のある機種/eT36tm((株)SPA),G8(Ashtech),他
  

6. 謝辞

  GHS時計(元祖タイプ)の製作に当たっては、下代博之氏から貴重な意見や情報を頂きました。
 この場をお借りして御礼申し上げます。
 
    (参考文献)
     ・月刊天文 2000年5月号・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・地人書館
     ・'99 最新光表示素子規格表・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・CQ出版社  
     ・電源用IC活用マニュアル トランジスタ技術編集部編・・・・・CQ出版社 
     ・せんだい宇宙館ホームページ 
     ・ジュピター商品仕様書・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(株)SPA



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