ライン
GHS時計+TIVi 製作例の紹介

●GHS時計とは

GHS時計」は、和歌山県金屋町生石高原天文台の下代博之(G),せんだい宇宙館の早水勉(H),国立天文台の相馬充(S) の三氏により考案・開発されました。
GPS(Global Positioning System)を利用して、簡易にかつ低コストで原子時計に匹敵する精密な時刻を得ることができます。当製作例は 月刊天文ガイド誌から頒布の「マイコンGHS時計工作キット」、および「Tivi(Time Imposer for Video)」を入手して製作したものです。(注:「マイコンGHS時計工作キット」は現在では頒布終了となっています)

TIVi(チビ:Time Imposer for Video)とは

「TIVi(チビ:Time Imposer for Video)」は、せんだい宇宙館の早水勉
によって開発されました。
TIviはビデオカメラと
ビデオデッキの間に配置して使用します。ビデオカメラからの映像に1/100秒表示まで可能な時刻情報をスーパーインポーズすることができます。この装置を使えば、家庭用のビデオデッキでもコマ送りにて、手軽に +/-1/30秒の高精度で天文現象の時刻を解析することが可能です。時刻の同期には、電話の時報の音声や、上記のGHS時計からのLine out(1PPS信号)を使用することができます。


GHS時計+TIViとは
上記の、「マイコンGHS時計工作キット」、および「Tivi(Time Imposerfor Video)」に 筆者の多少のアレンジを加えて一体化したものです。

■ 概要
先日、TIVi(天文ガイドよりキット頒布中のビデオインポーザー/Time Imposer for Video)を購入し、しばらくはキット同梱のプラスチックケースに組み込んだ状態で使用していましたが、

  ●マイコンGHS時計とは別に電源ケーブルを準備しないといけない
  ●マイコンGHS時計から 1PPS同期用のケーブルをつながないといけない
  ●機材の数はできるだけ少なくしてすっきりさせたい
  ●プラスチックケースではシールド効果が無い(外部からのノイズが心配)


という点が改善できないものかと思い、解決策としてマイコンGHS時計にTIViを内蔵してしまうという案を考えつき、その実物を製作致しました。

実際に製作するに当たってまず問題となったのは、それぞれの基板の配置をどの様にするかということでした。キットに付属のスイッチ(プリント基板に直接はんだ付けするタイプ)をそのまま使用する場合、マイコンGHS時計、TIViの両方のプリント基板をケース上面の裏側から吊り下げる方式が考えられますが、この場合、スイッチがあちらこちらに点在して全体としての統一感がなくなりますし、これにさらにスピーカーを内蔵させるとなるとケースの上面の面積はかなり広いものが必要となってしまいます。よって、TIViのプリント基板はケースの下側に取り付け、マイコンGHS時計のプリント基板と上下で重なる様にしました。実際に使用してみたところ、ノイズ輻射による干渉は発生せず 動作上の問題点は特に発生しておりません。
スイッチ、ボリューム、LED類は一ヶ所にまとめ、全体としての統一感を重視しました。ケースはタカチのYM−200を使用しています(W:200mm、H:40mm、D:150mm)。製作期間は約2ヶ月ほどです(配線に手間取り、予想以上に時間がかかりました)。

写真1
写真1
写真2
写真2

■「マイコンGHS時計について」

●操作スイッチはケース上面に取り付けてあります。これらのスイッチはケースに取り付けるタイプのものを別途購入して使用しています。マイコンGHS時計関係のスイッチは、操作時にわかりやすい様にひとまとめに配置してあります(写真1)。GHS時計のプリント基板とこれらのスイッチとの間はビニール被覆線で配線してあります(写真3〜写真5)。

●時報音声の出力は、外部出力(AUDIO OUT)←→内蔵アンプ+内蔵スピーカーで切り替えられる様にケース上面にスイッチが設けてあります(写真1)。

●GHS時計の時報音声を大きな音で鳴らすことができる様に専用のアンプを内蔵してあります(エレキット:PS−452S)。電源12.0V時の出力は約1.6Wです。ケース上面に設けたボリュームで音量調節が可能です(写真1)。スピーカーは、小型でも大音量の出せるもの(直径:66mm、インピーダンス:8オーム、耐入力:2W)を使用しています。これで屋外でもかなり遠くまで音が届くようになりました。

●IC(GHS−2)のもうひとつの時報信号を利用して 外部LEDを点滅させるための端子(LED OUT)をケース後面に設けてあります(写真2)。ケース上面に設けたボリュームでLEDの輝度調節が可能です。

●液晶の濃度調節のボリュームをケース上面に設けてあります(写真1)。

●液晶表示部はバックライト付きのものに換装してあります(品名:SC1602BSLB−SO−GS、価格:1300円)。このバックライトの電源は5Vであり、マイコンGHS時計の基板のDC−DCコン出力から取っています。ケース上面に設けたボリュームで輝度調節が可能です。輝度最大時の消費電流制限のため12?の抵抗を入れてあります(暗闇で液晶表示を見るにはこれで充分)。しかし、このままではマイコンGHS時計キットに付属のDC−DCコンバータの出力電流定格値(300mA)を越えてしまうため、出力電流600mAのDC−DCコンバータ(別途購入)に無理矢理付け替えてあります(ただし、プリント基板の改造が必要)。

●7セグメントLED(秒表示の発光ダイオード)をLCDの高さと合わせるため、丸PINシングルのICソケットを3段重ねにしてあります(上述のバックライト付きLCDの厚みがバックライトなしのものに比べて大きい為)。ICソケットはキット同梱のものでは数が足りないため別途購入しました。

●Dサブ9ピンコネクターはマイコンGHS時計のプリント基板に直付けせずに ケース後面に取り付けました(写真2、写真4)。プリント基板とコネクター間の配線に手間がかかりますが、この方が何かと便利です。ノイズが乗らない様に配線にはシールド線を使用しています。


■「TIViについて」

●TIViの同期信号はジュピターの1PPS信号出力から直接取っています。ノイズ対策として 配線にはシールド線を使用しています。

●TIViの同期信号をジュピターの1PPSから取っているため、音声←→1PPSの切り替えスイッチは1PPS側で固定(ショート)してあります。また、同期エッジ指定スイッチも立ち上がり側で固定(ショート)してあります。

●上記以外の他のスイッチはケース上面に取り付けてあります。これらのスイッチはケースに取り付けるタイプのものを別途購入して使用しています。TIVi関係のスイッチは操作時にわかりやすい様にひとまとめに配置してあります(写真1)。TIViのプリント基板とこれらのスイッチとの間はビニール被覆線で配線してあります(写真3〜写真5)。

●ビデオ映像の入出力端子はケース後面に設けました(写真2)。ノイズの輻射を抑えるためにシールド線で配線してあります。

●TIViのプリント基板の配置上、同期レベルトリマの調整が困難であるため、ケース前面に穴を開けて外部から調整できる様にしてあります(写真4)。

●外部同期信号60dB増幅用のIC(NJM4580)は不要であるためICソケットから引き抜いてあります。不要ノイズの輻射と消費電流を減少させる効果があります。(この施策は、せんだい宇宙館の早水氏からの助言によるものです)


■「その他」

●不測の事態に備え、0.5Aのヒューズをケース後面に設けてあります(写真2)。

●電源スイッチは、GHS時計用、TIVi用、内蔵アンプ用の3つに分けてあります。マイコンGHS時計(ジュピターの1PPS信号)でTIViを同期させた後、GHS時計のみ電源を切るという使い方もでき、消費電力を小さく抑えることができます。内蔵アンプも、使わない時はスイッチを切っておくことができます。

●消費電流の実測値は以下の通りです(いずれも電源電圧12.0V時の値)。
   「マイコンGHS時計部」
     LCDバックライト輝度最大時:約310mA
     LCDバックライト輝度最小時:約250mA
   「アンプ部」
     最大180mA(分予告信号の音声が出力されている瞬間)
   「TIVi部」
     約60mA(映像信号が入力されている時)

●「製作費」   約7万円  


写真3
写真3
写真4
写真4
写真5
写真5

戻る
ライン