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CBC製のCSマウントレンズを
WAT-100NとTGV-Mの
両方で
使える様にする改造


CBC社製のCSマウントレンズは WAT−100N(ネプチュン100)やTGV−Mに使用できるF値の明るいレンズとして一般に知られていますが、両者の間ではオートアイリスコネクターの結線の仕様が異なっているため、通常、1個のレンズで両方のCCDカメラに対応させることはできません。

ピン番号 EIAJ推奨配列
(TGV-M、WAT-221S等)
旧ワテック製品配列
(WAT-100N等)
@ 電源 電源
A NC(未接続) アイリス信号
B アイリス信号 GND
C GND GND


オートアイリスコネクタの仕様は上記の様になっており、アイリス信号のピン番号が異なっています。このため、どちらか一方の仕様で配線してしまうと 他方のCCDカメラのグループでは正常に使用できなくなってしまうのです(オートアイリスが正常に働かず、常に絞り開放状態になります)。

これでは非常に困ります。同じ焦点距離のレンズを2本買ってきて、それぞれにEIAJ推奨配列と旧ワテック製品配列の結線を施せば問題は解決しますが、そんなバカなことやってられません(金の無駄使いです)。

なんとかして、1個のレンズで両方のCCDカメラに使える様にできないものか?

というわけで考え付いたのが、スイッチを使ってアイリス信号を切り替える方法です。しかし、CSマウントレンズのアイリス制御ケーブルは細く、また、空中配線でCCDカメラのコネクタ接続端子へつなぐ仕組みになっているので大きなスイッチは使えません(ケーブルやコネクタ部に大きな負荷がかかって、断線や接触不良の原因になりかねないからです)。

というわけで、いろいろ考えた結果、サイズの小さなスライドスイッチを使用することにしました。回路図は下記の通りです。

回路図

製作上のPOINT

スライドスイッチとケーブルの固定には熱収縮チューブを使用しました。熱収縮チューブは、スライドスイッチとケーブルの半田付け作業を行うよりも先に、必要な長さに切ってケーブルに通しておきます(これを忘れると後で泣くことになります)。

今回の改造に使用したスライドスイッチは1回路2接点のタイプのものです(1回路1接点タイプのものは使用不可です)。

ケーブル全体の長さは、大型のCCDカメラにも取り付けられる様に少し長めにしておいた方が良いでしょう(私の場合は約20cmとしました)。市販されているCBC製CSマウントレンズのケーブルはこれよりも短いので、ケーブルを長くしたい場合には4芯のケーブルを別途購入しておく必要があります(私は秋葉原でGETしました)。


切り替えスイッチが旧ワテック製品配列側の時、WAT−100Nの3番PINのGNDはどこにもつながっていませんが、動作上問題ありません(WAT−100Nの4番PINのGNDが CSマウントレンズのVcc(−)につながってさえいれば正常に動作します)。

改造を施したCSマウントレンズの
ケーブル
WAT−100Nに装着した様子
MINTRON MTV-6368NDに装着した様子


使用上の注意点

WAT−100Nで使用する場合、電源を入れる前にスライドスイッチを旧ワテック製品配列側に切り替えておく必要があります。間違えてスイッチをEIAJ推奨配列側にして電源をONにすると、その後スイッチを切り替えても アイリスが正常に働かず、絞り開放側で固定されてしまいます(アイリス信号が一度GND電位に落ちてしまうことが原因の様です)。この場合、一度WAT−100Nの電源を切り、ケーブルのスイッチを正しい方向に切り替えた後に電源を入れ直せば正常に動作する様になります。


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